UTMF 2019 ランナーズケア VOL.2
2019年4月30日スポーツトレーナー活動
2019年4月26日~28日にかけて、富士山周辺で行われた、UTMF(ウルトラトレイル・マウントフジ)のレースサポートに行ってきました。
今回はその模様をお伝えする第2回です。
このUTMFは、100マイル(約165km) 累積標高差7942mというとんでもないレースです。
UTWT(ウルトラトレイルワールドツアー)シリーズの1つにもなっており、世界中から参加者がやってきます。
参加するにも厳しい条件があり、参加できるだけで誇れる大会となっています。
そんな世界規模の大会でランナーズケアを昨年に引き続きやらせてもらえることになりました。
今回の担当はスタート前とA9富士吉田でおよそ154km地点で残り11km、疲労やダメージもかなりの状態でやってくることが想定されました。
そんなUTMFランナーズケアの様子を投稿します。
今回はは27日のA9富士吉田エイドの様子です。
A9富士吉田エイドは151km地点のエイドで、ラストエイドです。
悪天候に低い気温、相当なダメージで選手がやってくるものだと想定していました。
当初はAM6時からサポートスタートの予定でしたが、急遽会場の小学校で保護者会が行われることになり、搬入開始が12時半以降に。
また、事務局とのやり取りで双方の思い違いがあり、27日PM6時終了と思っていたのが28日AM6時だと判明(;゚Д゚)
「ボランティアなので強制しない」、「PM6時でもOK」とのことでしたが、メンバーとの話し合いで、28日AM6時までのサポートを選択。
その時およそ13時。17時間のランナーズケアを覚悟しました。
準備完了。ケアを必要とするランナーを待つばかりとなりました。
既に上位陣はまばらながらこのエイドに到着、通過しています。
おそらく混み始めるのは21時以降だろうと予測を立て、長期戦に備えて順番に体を休めておく算段をしていました。
ところが、15時頃に事態急変。
大会インフォメーションによると「4月27日(土)15時、杓子岳付近の夜の降雪・凍結・低温によるリスク増大によりレース短縮を決定しました。」とのこと。
寒冷前線通過に伴う降雪による悪天候と低温が見込まれ、レース続行は危険との判断がなされ大会途中中止が決定されました。
ただし、このA9地点は杓子岳を過ぎています。
今の段階なら行っても、止めてもよいとの選択になりました。
その地点ごとの完走扱いになるとの情報もあり、その時体育館の中にいたランナーには戸惑いの色がありました。
何しろここは最終エイド。残りはわずか11km。
最後まで行きたいと思うのもわかります。
そして、この段階でA9までたどり着いているランナーは80位以内と、実力があります。
全員ではなかったと思いますが、大半が進んだように見えました。
その後は、中止が確定。
到達したエイドより先のレースを認めない旨の連絡が入り、選手はそこでレースを終えることになりました。
残念な表情はもちろん、安堵した表情も見られました。
中には20mほど滑落し、泣きながらエイドに到着したランナーもいました。
この時点でやってくるランナーも100~200位くらいの上位の選手になります。
力のある選手が、それほどの思いをしながらやってくるのを目の当たりにして、自然の強大さを感じざるを得ませんでした。
我々は、この状況に撤収の選択肢もありましたが、アフターケアに切り替えたランナーズケアを行うことにしました。
下りで滑ったのか、泥んこ、そして低温状態、ガタガタ震えるランナーたち。
壮絶な状況だったことがうかがい知れます。
まずはストーブで暖をとり身体を温め、それでもガタガタ震えが止まらない。
そんな疲弊しきった身体のアフターケアを求めるランナーにランナーズケアを行いました。
最初はこわばっていた表情も、終わるころには和らいできていました。
エイドの富士小学校体育館前。
空は青いが、山では雪が積もっていました。
この後気温がぐっと下がり、大会運営の判断が正しかったと感じました。
facebookでの石川弘樹さんの投稿で当日の様子が詳しくわかります。
こちらのリンク先を読んでみてください。
イレギュラーな状況でも仲間と乗り切り、「今できること」をランナーに提供できたのではないかと思います。
それと同時に「次回はこうしよう」「こんな準備が必要だ」と改善すべき点も明確になり、来年のUTMFはブラッシュアップしたサポート態勢となりそうです。